アメリカの通信衛星イリジウムとロシアの軍事衛星コスモスとの
衝突事故について、昨日からマスメディアが伝えていますが、
宇宙開発に携わっている方なら、このような事態がいつかは発生する
と危惧していましたよね。Toshiも前職で、スペースデブリ(宇宙ゴミ)
の問題を取材してきたので、「あ〜、ついに起きたか」というのが
正直な感想です。
今回の衝突が起きたのは高度約790km、衝突によって約600個もの破片に
なったとのこと。つまり、またまたスペースデブリが増えてしまった
ということです。しかも、これがどんどん宇宙空間に拡散していくわけで、
そのすべてを監視していくなんて限界があります。アメリカ航空宇宙局
(NASA)が、現在レーダーで監視しているスペースデブリだけで、
かるく1万3千個を超えています。もちろん、レーダーにとらえることの
出来ない小さなデブリもあるわけで、現在運用中の衛星は、つねにこの
スペースデブリとの衝突の危機に直面しています・・・というか、
微小なゴミとの衝突はつねに起きています。これが数センチの大きさに
なってくると、もう凶器です。いくら小さいとはいえ、秒速数メートル
という猛スピードで周回しているために、それこそ大型車の衝突なんか
に匹敵するものすごい破壊力です。
地球のまわりは人工衛星で大混雑の状態。そのため、運用を終えた
人工衛星は通常運用している軌道から離れ(デオービット)、
新しい人工衛星のために場所を明け渡すという手段が用いられること
があるんだけれど、そのデオービットした人工衛星は、その後、
軌道修正をする燃料もなくなるため、まさに宇宙空間を漂うゴミと
なるわけです。いくらレーダーで位置を把握していて、他の人工衛星
やスペースデブリと衝突することが分かっていても、回避できない
事態もあり得ます。今回は、その最悪のパターン。巨大な人工衛星
同士が衝突してしまったんですから・・・。
やっかいなのは、今回出来た破片がさらに衝突を繰り返しながら、
少しずつ小さなスペースデブリとなって、その数が増えていくこと。
イリジウム社が、「衛星電話の通話への影響はほとんどない」なんて
発表をしているけれど、問題はそこではなく、これからこの無数の
スペースデブリをどうするのか?なのです。
(いや、現時点ではどうすることも出来ないんだけど・笑)
ちなみにイリジウム社は、現在66機(予備機あり)の通信衛星を使って
全世界を通信エリアとする衛星携帯電話サービスを行っています。
軍事衛星に関しては、ロシア、アメリカだけでも冷戦時代から、
それこそ競い合うように打ち上げていますから、運用を終了した
ものも含めたら、数百機以上周回しているんじゃないでしょうか。
(このへんの正確な数は、その性質上分かりませんが・・・)
このスペースデブリの問題を放置したまま、次々に人工衛星を
打ち上げているという事実。通信衛星、気象衛星をはじめ、
私たちの生活を支える重要なインフラでもあるので、これらを
安全に運用できない事態になっては困ります。
スペースデブリの問題は、もう待ったなしの重大な局面をむかえて
いるのです。
なんか、放射性廃棄物の処理問題も解決していないうちに、
原子力発電を続けている問題にもつながるようなお話。
科学技術って、突っ走ると手がつけられないですねぇ・・・
ああ、久しぶりにマジメな記事を書いたら疲れたぁ・・・(^_^;)